「保存料はからだに良くない」「添加物はなるべく避けたい」——そう思っている方は多いと思います。
でも、ちょっと立ち止まって考えてみてほしいんです。「なぜメーカーは保存料を使うのか?」と。使わなくていいなら使いたくないはずですよね。実は、保存料が使われる背景には、食品業界の構造的な理由があります。
「1/3ルール」という暗黙の商習慣
日本の食品流通には、「1/3ルール」と呼ばれる商習慣があります。法律ではありませんが、長年にわたり業界に根づいてきたルールです。
仕組みはこうです。食品の賞味期限を3等分して——
1/3ルールの仕組み
例:賞味期限が6ヶ月の食品の場合
- 最初の1/3期間(2ヶ月以内)
メーカーは小売店に納品しなければならない
- 次の1/3期間(納品〜4ヶ月)
小売店が販売できる
- 最後の1/3期間(4〜6ヶ月)
販売終了。棚から撤去される
納品期限を1日でも過ぎると、返品されることがある。
返品された食品の多くは、廃棄される。
つまりメーカーにとっては、賞味期限が短い=棚に並ぶチャンスが減る、ということです。
ここに保存料の出番があります。賞味期限を延ばすために保存料を使い、包材にもコストをかけて製品の安定性を高める。そうしなければ、1/3ルールの壁を越えられず、そもそも消費者の手に届かない。
メーカーが保存料を使うのは、それが国で認められた安全基準を満たしたものだからであり、この流通構造の中で食品を届けるために必要だからです。からだに悪いと思って使っているわけではありません。
ただその上で、近年さまざまな研究からわかってきていることがあります。
保存料の「もうひとつの仕事」が腸に及ぶ可能性
保存料の仕事は「菌の増殖を抑えること」です。食品の安全を守るために欠かせない役割です。
ただ、「菌を抑える」という作用は、食品の中だけで終わるわけではありません。
PMC(アメリカ国立医学図書館が運営する、生物医学・生命科学分野の論文データベース)に2025年に掲載されたレビューでは、安息香酸ナトリウムなどの一般的な保存料が腸内細菌の組成を変化させ、炎症を促進する可能性があることが報告されています。また、ポリソルベート80などの乳化剤が腸の粘膜層を弱め、腸壁の透過性を高めるリスクについても触れられています。
さらに2025年のScienceDirect(世界最大級の学術論文データベースサイト)掲載の研究では、食品保存料がマウスの腸内細菌を変化させ、代謝に影響を与えたという結果が出ています。研究者たちは、一般的に安全とされている保存料でも、腸内細菌への影響を通じて消費者の健康に意図せぬ結果をもたらす可能性がある、と指摘しています。
つまり、食品の中で菌を抑える保存料が、お腹の中の菌にも影響している可能性がある。毎日少しずつ、それが積み重なったとき、腸内環境のバランスに何が起きるか——この視点は持っておいて損はありません。
構造を知ると、選び方が変わる
保存料が使われる理由が「流通の構造」にあるとわかると、見え方がちょっと変わりませんか。
メーカーを責める話ではないんです。この構造の中で食品を届けようとすれば、保存料はほぼ必須になる。でも、消費者として「その構造の外にある選択肢」があることを知っておくのは大切なことです。
- 裏面表示を見て、保存料や乳化剤がどれくらい入っているかを確認する習慣をつける
- D2C(メーカー直販)ブランドは1/3ルールに縛られないため、保存料を使わない設計が可能であることを知っておく
- 「保存料を全部避ける」ではなく、毎日食べるものだけでもシンプルな材料のものを選んでみる
ちなみにHug & TreatはD2Cが中心のブランドであるとともに、賞味期限を長くすることより素材や品質へのこだわりを優先しています。保存料を使わなくても、お客様に直接届けられる。この構造だからこそ、スラッシュゼロ(原材料名の「/」の後に何も書かれていない状態)の設計が成立しています。