プロテインブームをきっかけに、タンパク質の「量」を意識する方が増えています。1日の摂取量を計算したり、プロテイン製品を取り入れたりしている方も多いのではないでしょうか。
でも今日は、あまり語られていない「もうひとつの視点」をお伝えしたいと思います。それは、「摂った量」と「からだに届いた量」は、実は同じではない、というお話です。
「20g摂った」のに、「届いたのは12g」かもしれない
タンパク質を20g摂ったとして、それが全部からだに吸収されているかというと、そうとは限りません。
タンパク質は消化酵素によってアミノ酸に分解され、小腸で吸収されます。でもこの「分解→吸収」の効率は、タンパク質の種類によって大きく異なります。分解されにくい構造を持っているタンパク質は、せっかく食べても未消化のまま腸を通過してしまう可能性があるんです。
つまり、パッケージに「タンパク質20g」と書いてあっても、からだに届く量はそれより少ないことがあるということです。
DIAAS——タンパク質の「質」を測るものさし
この問題に対して、FAO(国連食糧農業機関)が推奨しているのが「DIAAS(消化性必須アミノ酸スコア)」という指標です。
DIAASは、タンパク質に含まれる必須アミノ酸の量と、実際に小腸でどれだけ吸収されるか(消化性)の両方を考慮したスコアです。従来のPDCAAS(タンパク質消化性補正アミノ酸スコア)よりも精度が高く、2026年現在、栄養学の世界ではDIAASが標準的な評価法になりつつあります。
DIAASによるタンパク質の質のランク
- DIAAS 1.0以上:高品質(卵・カゼイン・豚肉など)
- DIAAS 0.75〜1.0:良質(ホエイ・大豆など)
- DIAAS 0.75未満:低品質(一般的なえんどう豆・米・オーツ麦など)
※2024年のFoods誌(食品科学全般を対象とした国際学術誌 )レビューおよびワーゲニンゲン大学(農学・生命化学分野の研究で知られるオランダの大学)の研究データより
注目してほしいのは、植物性タンパク質の多くがDIAAS 0.75未満に分類されていること。つまり植物性タンパク質は多く摂取しても、からだに届く量が少ない可能性があるということです。
植物性タンパク質の「壁」と、発酵による突破
植物性タンパク質の吸収を下げている主な原因は、「反栄養因子」と呼ばれるものです。フィテート(フィチン酸)やレクチン、トリプシンインヒビターなどが消化酵素の働きを妨げ、アミノ酸の吸収効率を落とします。
2025年のApplied Sciences誌(国際的な学術雑誌)のレビューでは、この反栄養因子を減らす加工法として「発酵」「酵素処理」「高圧処理」などが有効であると報告されています。中でも発酵は、微生物の酵素がフィテートやレクチンを分解し、タンパク質を低分子化するとされており、伝統的かつ有効なアプローチとして注目されています。
つまり「植物性タンパク質は吸収されにくい」というのは絶対的な話ではなく、「加工次第で変えられる」ということです。発酵というひと手間が、タンパク質の「質」を底上げする可能性がある——これは、あまり知られていないけれど大切なポイントです。
「量」と「質」の両方で選ぶ
タンパク質を「何グラム摂ったか」に加えて、「どれだけからだに届いたか」という視点を持つだけで、選択の基準が変わってきます。
- タンパク質の「グラム数」だけでなく、そのタンパク質の質がどれだけ吸収されやすいかにも目を向ける
- 植物性タンパク質を選ぶときは、発酵処理されたものかどうかをチェックしてみる
- タンパク質食品を選ぶときは、DIAASなどの吸収スコアを参考にしてみる
Hal-cru(ハルクル)とProco(プロコ)に使っているえんどう豆プロテイン(ピープロテイン)は、製造過程で発酵を経て低分子化されたものを採用しています。素材の質にこだわった選択です。
タンパク質は毎日の積み重ね。だからこそ「量」だけでなく「質」にもこだわることが、長い目で見たからだの土台づくりにつながるとHug & Treatは考えています。