甘いものを控えた方がいいのはわかっていても、やめられない。3時になるとどうしてもおやつに手が伸びる。
今日は、この「やめられない」の正体について、少し掘り下げてお話しします。知っておくと、甘いものとの付き合い方が変わるかもしれません。
精製砂糖が脳の「報酬系」を動かす仕組み
精製砂糖を摂ると、脳の「側坐核」という部分でドーパミンが分泌されます。ドーパミンは快楽や報酬に関わる神経伝達物質で、「気持ちいい、もっと欲しい」という信号を出します。
ここまでは正常な反応です。問題は、この刺激が繰り返されると、脳がその快感に「慣れる」こと。同じ量の甘さでは満足できなくなり、より多く、より強い甘さを求めるようになります。
動物実験では、砂糖を断続的に与えたラットにドーパミン分泌量の増加と、依存症に類似した行動(渇望・過剰摂取・離脱症状)が観察されたという報告があります。ヒトでのエビデンスは慎重に評価する必要がありますが、脳の報酬系に作用する仕組み自体はニコチンやアルコールとよく似ています。
つまり「甘いものがやめられない」のは意志が弱いのではなく、脳の報酬系がそう反応する仕組みになっている。まずこのことを知っておくだけで、自分を責める必要がなくなります。
もうひとつ、味覚への影響も見逃せません。精製砂糖の強い甘さに慣れると、果物や素材本来の穏やかな甘みが物足りなく感じるようになります。味覚のセンサーが「強い刺激」を基準にしてしまうんです。すると自然と、もっと甘いものに手が伸びるという循環が生まれます。
人工甘味料とは何か——メリットとデメリット
ここで、人工甘味料についても整理しておきたいと思います。
人工甘味料とは、化学的に合成された甘味物質の総称です。アスパルテーム、スクラロース、アセスルファムK、サッカリンなどが代表的なもので、砂糖の数十倍から数百倍の甘さを持ちます。ダイエット飲料やカロリーオフ食品をはじめ、私たちの身近な食品に広く使われています。
人工甘味料のメリット
- カロリーがほぼゼロ(摂取カロリーの削減になる)
- 血糖値を直接的には上昇させない
- 少量で強い甘味を出せるため、食品設計の自由度が高い
- 虫歯のリスクが低い
人工甘味料のデメリット・リスクとして報告されていること
- 腸内細菌のバランスに影響を与える可能性がある(北里大・慶応大 2025年報告など)
- 強い甘味に慣れることで味覚の感度が下がり、より甘いものを求めやすくなる可能性がある
- 甘味の後に血糖値が上がらないため、脳が「エネルギー不足」と判断し食欲がかえって増進される可能性がある
- WHOは2023年に「人工甘味料を体重コントロールの手段として使用しない」と勧告している
メリットがあるのは事実です。ただ、長期的に毎日摂り続けたときのリスクについては、近年の研究でわかってきたことが増えています。特に腸内細菌への影響と味覚センサーの鈍化は、日々のコンディションに関わる話なので、知っておいて損はないと思います。
「甘さの質」を選ぶという視点
甘いものをゼロにする必要はありません。甘さは生活の楽しみです。
ただ、毎日のおやつや飲み物に含まれる「甘さの種類」を少し意識してみるだけで、脳の報酬系への刺激も、味覚のセンサーも、腸内環境への影響も、少しずつ変わっていきます。
- 精製砂糖の代わりに、甜菜糖やはちみつなどGI値(血糖値の上がりやすさを示す指標)が比較的低い甘味を選ぶ
- 人工甘味料が入っているかどうか、裏面表示を確認する習慣をつける
- 「素材そのものの甘み」を感じ取れる味覚を大切にする
Hal-cru(ハルクル)、Proco(プロコ)には北海道産の甜菜糖を使い、人工甘味料を不使用にしています。甘さは控えめですが、その分、素材の風味を感じていただけると思います。毎日口にするものだからこそ、甘さの質を選ぶことが、自分を大切にする小さな一歩になると考えています。